二輪車は自動車よりももっと趣向性の高いものだから、パーツの研磨とか、細部に力を注いでいることが多い印象だな。
バイク製造工場の仕事内容には、フレームの溶接や塗装、エンジン組立、車体組立という一連の工程でライン工が活躍します。
自動車と同様、バイクメーカーも組立がメインになります。ただ、自動車のように大きな部品は少ないことから、組立ラインの仕事で力仕事が必要なときはあまりないでしょう。手先の器用さ、繊細さが求められます。
最近のバイク製造は、組立の工程を省くことに注力する傾向にあるようです。その分、別の工程で組み立ての必要が出てきますが、これに対応するのは下請企業になります。
バイクは外観に求められる品質が高いことから、組立よりも前段階の仕事がもっとも重要なポジションとされています。
例えば、部品を磨く研磨の工程。鉄やアルミ、ステンレスなどの金属表面をちょうどいい感じの光沢に仕上げるため、サビ取りや焼け取りといった技術力が商品価値を大きく左右するといわれます。
こうした作業はバイクメーカーよりも、関連の下請企業のほうで対応することが主ですので、こうした仕事に就きたい方はメーカーだけでなく下請企業も検討してはいかがでしょうか。
ホンダやヤマハなど日本のバイクメーカーは、世界的にも高いシェアを誇る企業ばかりです。世界で販売されているバイクの約半数は日本製であり、とりわけアジア市場では人気が高くヤマハのバイクは年間生産量の8割近くがアジア地域で売れているといわれます。
こうした実情から、バイクメーカーの関連工場は一時期、海外にシフトしていく動きが活発でした。企業によっては、国内で販売されているモデルの半数は海外で製造されているというところもあったほどです。
その一方で、国内の生産量は年々減少しているという実情もあります。国内では、大手4社の新車販売台数が、2013年ごろまで減少の一途をたどっていました。背景には、二輪車専用の駐車場が足りないことや、ETC非装備車両だと高速道路の料金値下げが適用されないなどがあるといわれます。
ところが最近になって、バイク製造工場が国内で生産量を上げてきました。国内の販売台数が増え始めたからです。
ホンダは2016年に、国内の工場生産における増産強化を発表しています。
また政府も、二輪車産業の国内での発展と海外市場の地位向上を目指して、アベノミクスの成長戦略に組み込みました。
傾倒しかけていた日本のバイク製造工場は今後、上向いていくものと予測されています。
国内の大手バイクメーカーといえば、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキがあります。世界で見ても、トップ5にこの4社が入るほど大手メーカーです。各社について紹介しましょう。
世界シェアでトップを誇るホンダ。年間の販売台数は約1,700万台、売上高は約1兆8,000億円。高品質なのに壊れにくく、気軽に乗れるバイクが多いとして人気の高いメーカーです。
ホンダの二輪車専用工場は、熊本県にあります。熊本製作所では、50ccのスクーターから中型、大型、ATVまで、さまざまなバイクを生産。生産台数は年間25万台と、国内最大規模の工場です。
世界2位のシェアは、ヤマハのバイクです。エンジンの高い技術力が評判。年間売上高は1兆円を超えます。
ヤマハのバイク製造拠点は、静岡県にある磐田工場に集約されています。年間生産台数は約22万台で、こちらもホンダに次ぐ大規模なバイク製造工場です。
人気ブランド「隼」をはじめ、独特なデザインとスピードがウリのバイクメーカーです。
スズキは、自動車工場も静岡県内に複数あります。バイク専用の生産拠点は浜松工場です。約600人の社員が働くこの工場では、エンジン組立と車体組立を担っています。
電車や飛行機、船などを製造する川崎重工業。いずれも企業向けの機械製品ですが、そのなかで個人向けに販売しているのが、カワサキのバイクです。国内では中型バイクに人気があります。
バイクの生産拠点は兵庫県の明石工場です。ここではバイク以外にも、飛行機のジェットエンジンやロボットなども生産しており、いろいろな生産現場を体験できるチャンスがあるかもしれません。
バイク製造工場も自動車と同様に「バイク城下町」をつくるほど、特定の地域に集まる傾向にあります。
例えば、世界最大手のバイクメーカーであるホンダは、熊本県に一大生産拠点を置いており、関連企業も熊本県をはじめ九州一円に広がっています。
また、ヤマハやスズキは静岡県、カワサキは兵庫県にバイク製造の拠点を設置。特に静岡県はバイク王国としても知られ、部品の製造などを手掛ける下請企業が周辺に多く並んでいます。
バイク製造工場で働きたいけど近くに住んでいない、という方でも、寮や社宅を完備しているメーカーもあります。遠方で通勤できないという方は、こうした施設に入ることも検討してみてはいかがでしょうか。