船を本気で造りたいなら、瀬戸内海へ行きな。
船の製造工程には、非常に多くの部品が使われます。このため、ライン工の仕事内容は実に多種多様な作業があります。
船体に用いる鉄板の切削や曲げ、エンジンの開発や取り付け、推進力に変える部品など、一隻の船を作るのに多くの人が携わり、しかもオリジナルの船も多いため同じ仕事がないというのも魅力の一つといえるでしょう。
実際の作業内容は、基本的には機械のオペレーターがほとんどですが、なかには手作業の業務もあります。その一例が、溶接作業です。嵐の中を航行しても浸水などしない船を作るには、高い溶接技術を持った人の力が欠かせません。この技術を持っている溶接工は重宝され、報酬もそれなりに高くなる傾向にあります。
世界を航行する船の3分の1は日本製といわれており、日本の造船業は韓国とともに世界トップクラスのシェアを占めています。それだけ、日本が作る船には高い信頼があり、そこで働けることは、大きな誇りになることでしょう。
船の製造といっても、小型の漁船やクルーザーと大型タンカーなどの造船では、まったく異なります。
大型船は、完成までに年単位の長い期間がかかります。タンカーなどになると、いくつかのブロックにわけて製造し、そのブロックを巨大クレーンで運び、最終的にドックと呼ばれる作業所で組み立てるという手法がとられます。
自分の手掛けた船が進水し、無事に航行したときには、何にも代えがたい喜びとやりがいを感じられることでしょう。
造船所は、波の高さが安定している内海に立地されることが多いです。特に瀬戸内海には、三菱重工業や三井E&S造船といった老舗の造船企業から、今治造船、ジャパン・マリンユナイテッドなどの大手造船メーカー、さらに中小のメーカーまで、数多くの企業が集積するメッカです。
このうち今治造船は、瀬戸内海に10カ所の工場を設けており、新造される船のシェアは国内トップという大手造船メーカーです。50万tという巨大な船の製造にも対応できる大型ドックは、東京タワーがすっぽり入る巨大施設。そこで、船の製造に携われます。
また、ジャパン・マリンユナイテッドの本社は横浜ですが、呉、熊本、津などに造船所を持ち、タンカーや大型客船などを手掛けます。
小型船のメーカーでは、ヤマハ発動機やヤンマーが有名なところ。日産マリーンやトヨタ・マリンといった、自動車メーカーの一部門から独立した会社も多いです。